思い

■昭和16年創業

歴史と風情を感じられる街・神楽坂。そんな大人の街で、客足の絶えない和菓子屋がある。昭和10年創業の「梅花亭」だ。「元々は祖父が新宿で開業し、戦後は池袋で60年にわたり営業を続けてきましたが、よりよい場所を求めて2005年にこちらに移転してきました」。そう語るのは四代目の井上豪さん。

 幼少期の遊び場が和菓子の工場だったといい、小学校の頃から配達に出るなど家業を手伝いながら育った。父親が二代目として店を継いだが、井上さんが10歳の時に若くして他界したため、叔父が三代目として跡を継いだという。「二代目を早くに亡くしたことから、先代の〝食の安全〞に対するこだわりは人一倍ありましたね。そのため現在でも国産の素材を使用し、着色料にはクチナシや紅花など天然由来のものを使っています」。

 さらに、井上さんのもうひとつのこだわりが和菓子の命ともいえる餡だ。「当店の餡は和菓子の皮に合わせた23種類を豆から炊き分けています。そのぶん手間はかかりますが、丁寧な手仕事が美味しさの秘訣であり、生命線だと思っています」。季節の上生菓子は時の移ろいに合わせ、2週間という早いサイクルで入れ替わる。どれも旬の果物や花をモチーフとした、目にも楽しいものばかりだ。

 和菓子の世界においても効率化が進む現代において、これほど手間をかける背景には、初代の言葉があるという。「〝いい材料を使っていい物を作っていればお客様はついてくる〞が祖父の教えでした。その意思を引き継ぎ、美味しいものを求めるお客様に満足して頂ける和菓子を提供したいと思っています」。

 店頭に並ぶ手のひらサイズの美しい和菓子たち。その小さな一つひとつに〝手作り〞への真摯なこだわりが詰まっている。

■素材へのこだわり

にしき堂の小豆は北海道十勝産。にしき堂が求める品質水準にこたえるために、土づくりにこだわり、8年に一回収穫する八輪作を守り、契約農家の皆さんが一生懸命作っています。

また、白あんや抹茶あんに使用している大手亡豆(白いんげん豆)も、良質な十勝産の豆を使用しております。